これまで、公費で受けることができる子宮頸がん(HPV)ワクチンとしては、サーバリックスとガーダシルがありましたが、新たにシルガード9が追加され、令和5年4月から公費で受けることができるようになりました。
平成9年度から平成18年度まで(誕生日が1997年4月2日から2007年4月1日まで)の女性で、通常のHPVワクチンの定期接種の対象年齢の間に接種を逃した方も、公費でシルガード9を受けることができるようになりました。
子宮頸がんは、子宮の出口付近で発生するがんです。日本では年間約1.1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約2,900人の女性が亡くなっています。特に若い年齢層で発症する割合が高く、日本では25~40歳の女性の死因として子宮頸がんが第2位です。しかし、子宮頸がんはワクチンで予防できる数少ないがんの一つです。対象年齢の方は、ぜひワクチン接種を受けましょう。
当院では、多汗症治療薬「ラピフォートワイプ2.5%」(保険適用)の処方が可能です。この薬は厚生労働省が保険承認したものであり、市販の制汗剤よりも効果が期待できます。市販の制汗剤を使用されている方は、一度お試しいただければと思います。
また、ゲル状製剤のエクロックゲル5%の処方もできます。
【ラピフォートワイプとは?】
ラピフォートワイプ2.5%は、塗り薬で、原発性腋窩多汗症の発汗を抑制します。この薬は1回使いきりのワイプ製剤であり、簡便かつ衛生的に使用することができます。
【多汗症とは?】
多汗症は、汗の量が非常に多いため、日常生活に支障が出ている状態を指します。原因によって「続発性」と「原発性」に分類されます。「続発性」は発汗の原因になる疾患などがある場合、「原発性」は直接的な原因が特にない場合に該当します。日本皮膚科学会では、原発性局所多汗症を「温熱や精神的負荷の有無に関わらず、日常生活に支障をきたすほどの大量の発汗を生じる状態」と定義しています。
多汗症は、発汗する部位によって「全身性多汗症」と「局所性多汗症」とに分けられます。局所性多汗症は、汗腺が密集しているワキの下、手の平、足の裏などで異常に多い発汗がみられます。温熱や疾患といった原因のほかにも、緊張が高まっているような精神状態に影響を受けて発汗量が増加するケースもあります。
【多汗症の原因】
発汗の原因が突き止められる「続発性多汗症(二次性多汗症)」の場合、全身性の病気(感染症・神経性疾患・糖尿病・低血糖・内分泌代謝異常など)や外傷、悪性リンパ腫などの局所的な神経障害が原因となることがあります。また、解熱剤や向精神薬、ステロイドなどの薬の副作用も考えられます。
一方、原発性多汗症は、発汗量が異常に多くなる原因が明確に特定されていない状態を指します。脳に何らかの異常があり、交感神経が優位になりやすいため、発汗が促進されていると考えられていますが、まだ明確な共通の見解は得られていません。
また、原発性多汗症の特徴として、社会的な活動範囲が広く、生産的な年代での発症率が高いことが挙げられています。対人ストレスなど精神的に苦痛を感じる機会が多い人ほど、発症しやすい傾向があります。さらに、家族や親族の中に多汗症の人がいるケースも多く報告されており、遺伝性の可能性も指摘されています。現在、遺伝が多汗症にどの程度影響するのか、どの遺伝子が原因となる可能性があるのかなど、研究が行われています。