
ほとんどの女性は、50歳前後で月経が終了(閉経)します。この時期は、卵巣の働きが低下して女性ホルモン(卵巣ホルモン。特にエストロゲン)が急激に減少する時期。これを「更年期」といいます。
女性ホルモンの減少は閉経前にすでに始まっていることが多く、主に45~55歳、早い人では40歳ごろから始まります。最初に気付くのは、多くの場合、月経不順です。
女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が減るとホルモンのバランスが崩れ、これによって体のあちこちに症状が出てきます。
ほてりや動悸などが世界共通の症状と言われていますが、日本では「肩こり」を訴える女性が圧倒的に多く、次いで「疲れやすさ」、以下「頭痛」「ほてり」と続いています。
最近よく聞かれるようになった骨粗しょう症、高脂血症による動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、老人性痴呆などの病気も、このエストロゲンの低下と大きく関わっていることが知られています。
日本人女性の平均寿命は86歳。平均的な閉経年齢は50歳前後。つまり、閉経後の約40年―人生の約半分にも上る年月をいかに快適に過ごすかを考える時、避けては通れない更年期障害とどう向き合い、これをいかに抑え、改善するかは、きわめて大切なポイントとなります。
当クリニックでもこうした問題を真正面からとらえ、的確な治療や予防対策に全力で取り組んでいます。
更年期障害に対する有効な治療法のひとつとして、「HRT」(女性ホルモン補充療法)が注目されつつあります。これは、減ってしまった、あるいは足りなくなってきた女性ホルモンを薬で補う治療法。更年期障害のさまざまな症状や骨粗しょう症を改善しようというものです。
人により、エストロゲンだけを補充する方法、エストロゲンと合成プロゲステロンという2種類の女性ホルモンを補充する方法などを使い分けます。骨や血管、肌の若さを保つ上で、大きな効果が期待できる療法として一層の普及が期待されます。
最近では副作用の少ない、お腹の皮膚に貼るパッチ剤も使用しております。
HRTは、更年期障害の症状に特によく効く療法で、中には数日中に症状が軽減し始める人もいるほどです。主な効果は次の通りです
一般的には、2~3カ月間の服用で更年期障害の症状をなくしたり、軽くしたりする効果を得られます。ほてり、発汗などの症状は、HRTを始めて2~3週間で、骨粗しょう症などにつながる骨代謝では約1年で、HRT治療の効果が期待できます。
当院では、漢方薬の服用をおすすめする場合もあります。